Googleについて詳しく解説します
- GoogleアナリティクスのGA4が使いづらすぎて絶望しています…
- そもそもUAとGA4ってなんでこんなにUIが違うんですか?
- で、最終的に結局、どうしたらいいですか…?
この記事では、以上の切実な疑問にお答えします。
アクセス解析ツールの決定版であるGoogleアナリティクスですが、2023年6月末にて現行バージョンであるUA(Universal Analytics)の提供が終了し、後継サービスとなるGA4(Google Analytics 4)のみの提供となります。
筆者自身もGoogleアナリティクスを10年以上にわたって長年利用し続けてますし、これまでGoogleアナリティクスのPV計測やイベント計測、コンバージョン計測に活用してきました。
なんなら、ほぼ毎日アナリティクスの画面を眺めては、あーでもないこーでもないとWeb運用の検討をするほど、愛用していたツールでもあります。
しかし!
UA終了アナウンスされた後、後継サービスとして位置付けられているGA4での計測を開始して使ってみましたが…この使いづらさに正直、絶望しました。
「こんな意味不明なツールを勉強して、今後、付き合っていかないといけないのか」
…と。
今後のWebの運用のことを考えると、正直めまいが起きたことを覚えています。
この記事を読まれている皆さんも、おそらくはぼくと同じ気持ちだったのではないかと、お気持ち、お察しします…。
しかし、UAのとGA4のそれぞれの違いをしっかり見ていくと、今までUAを使っていたユーザにとってなぜGA4が絶望的に使いづらいツールなのか、その理由が見えてきました。
この記事では、UAとGA4の違いと、GA4がなぜ使いづらいツールなのかについてまとめています。
更に「そもそもGA4を使う必要があるのか?」という部分も含めて、今後のWebアクセス解析を考えていきます。
少しでも参考になれば幸いです。
目次
この記事のポイント!
- UAとGA4は、開発企業も開発目的もまったく異なるツール
- UAと同じことをGA4で実現しようとすること自体にムリがある
- UAからGA4へと強制移行すること自体が問題だった
- 小規模Webのユーザは、Matomoなどのアクセス解析ツールを検討するのが吉
【そもそも】UAとGA4は全く異なるツール
そもそもUAとGA4は、設計思想が全く違う異なるツールというのが大きな問題です。
この両者は全く違う目的で作られたツール同士で、作った元企業も、その仕組みも全く異なるものですが、両方ともGoogleが買収し、名称をGoogleアナリティクスと名付けたという背景が裏にはあります。
そもそもの話として、全く違うツールを無理やり後継サービスにしてしまったのが、Googleアナリティクス最大の悲劇だといえます。
UA(Universal Analytics)の特徴
元々は「Urchin」というWebアクセス解析ツールをGoogleが2005年に買収し、Googleアナリティクスという名称で公開、Web解析で広く使われてきたという経緯がある。
訪問者のセッションをベースに計測するという考え方で作られている。
初心者を含めたWeb管理者向けに最適化されたツール。
UA(Universal Analytics)の特徴
元々は「Firebase Analytics」という分析ツールをGoogleが2014年に買収し、こちらもGoogleアナリティクスの名称で公開し、今後はこちらのツールのみを提供するとしている。
利用者が発生させたイベントをベースに計測するという考え方で作られている。
ビッグデータを扱うエンジニアに最適化されたツール。
UAとGA4はそもそもの考え方や設計思想からして、全く異なります。
計測する単位も「セッション」と「イベント」と異なる概念となります。
ツールの目的も、WebページのPV数やセッション時間を計測するためのものと、Webやアプリを横断してユーザの利用状況を計測してビッグデータとして分析するためのものと、全く持って違います。
小規模なWebサイトやブログのアクセス数を計測するためではなく、より大規模な企業のWebやアプリを統合的に解析する、大企業・大プロジェクト向けのツールということですね。
【図解】UAとGA4の違い・早見表
UAとGA4の違いを表にまとめてみました。
Google Analytics UA | Google Analytics GA4 | |
---|---|---|
設計思想 | Webのアクセス解析に 特化して設計 | クロスプラットフォーム (Webとアプリ)で ユーザー行動を 一元的に分析するよう設計 |
元となった 買収元企業の システム名と 買収時期 | Urchin 2005年にGoogleが買収 | Firebase Analytics 2014年にGoogleが買収 |
Google アナリティクスでの 提供開始時期 | 2005年〜 | 2020年〜 |
分析対象 | Webのみ | Webとアプリの両方に対応 |
分析単位 | 訪問者の セッションごとに計測 (訪問者ベース) | 発生した イベントごとに計測 (イベントベース) |
レポートの テンプレートの有無 | 多数のテンプレートがあり、 カスタムレポートも作成可能 | カスタマイズされた レポートが作成可能だが、 事前の計測設定が必要 |
スキル習得の 難易度・コスト | 既に多くの情報・教育資源があり、 比較的容易 また、Web管理者は 直感的に操作しやすい | UAと概念が全く異なり、 レポート作成やデータの確認にも スキル習得が必要 アプリ側の知識や概念がないと Web管理者には操作が困難 |
サービス 終了予定 | 2023年6月末でデータ計測終了 2023年12月末でデータ閲覧も不可に | 現時点ではなし |
メリット | Web解析について、 直感的にレポートを作成可能 | Webやアプリを横断して ユーザの行動を高度に分析可能 |
デメリット | サービス自体が終了予定、 アプリ分析の対応が弱い | 学習コストが高く、 Webのみの計測にはオーバースペック これまでUAで出来ていた計測をするのにも 一定のスキル習得が必要 |
【根本】UAとGA4は全く目的の異なるツールであることが根本の問題
このようにUAとGA4を比較してみていくと、そもそも全く違うツールだということが見えてきます。
それなのに、このGA4を後継ツールとして無理矢理同じ目的で使おうとしているから、確認したいデータが全然取り出せない、取り出そうとするとそれだけで事前設定が必要だったり、GA4を利用するスキルの学習がイチから必要になってしまう…という様々な問題が発生するわけです。
つまり、UAでやっていたことをそのままGA4でやろうとするということ自体がムリがあるのですね。
例えるなら、自動車を飛行機に強制移行させられるようなもの
この問題を他の事柄に例えるなら、「自動車の運転手がある日突然、飛行機のパイロットになるよう求められている」という考えると、想像しやすいかと思います。
自動車と飛行機は「目的地に移動する」という目的は同じだけども、その手段や仕組み、必要なスキルはまったく異なるものですよね。
飛行機は世界中のどんな場所にも高速で行けるので便利ですが、その飛行機を運転しようとすると非常難しいスキルの習得が必要になります。
これまで自動車を使ってきたドライバーにとって、「2023年7月からは飛行機を操縦してください」と言われるのは、非常に困難で、混乱が起きるのも当然です。
これがまさに、GoogleアナリティクスのUAからGA4への強制移行がもたらしている現状なのです。
UAの後継にGA4を据えたGoogleに問題あり
このあたりは、Googleの説明不足というか、誘導の方針に問題があると感じます。
ユーザはUAが使えなくなって、後継サービスがGA4だよと言われたら当然、GA4が似たようなツールで同じような使い方が出来るものだと思いますよね。
UAのユーザには、あくまでWebの担当者というレベルで、ページごとのアクセス数を見たい時に見るだけ…という、いわばライトな利用者も当然含まれています。
しかし、その後継サービスとして、ビッグデータを扱うエンジニア向けに作られたツールに誘導すること自体が無謀だったのだと言えます。
それならば「UAは単純にサービス終了です」という言い方をして、「代替サービスは各自自由に、自分に合ったものを探してくれ」「Webとアプリを高度に計測できるGA4ってツールもあるよ」という話にしたほうが、提供側も利用者側も、お互い幸せだったのではないでしょうか?
すくなくとも、UAの終了は2022年3月にアナウンスされていたので、その時に「ライトユーザや小規模Webの管理者は他のサービスを検討したほうがいいよ」という選択肢があったなら、皆さん、けっこう本気で検討したのではないでしょうか。
(少なくとも、ぼくはGA4を触ってみた時点で、他の代替サービスを検討しました。)
【対応策】他の代替サービスを探そう
Webのアクセス解析だけをしたい人は、別の代替サービスを探す方がよいと思います。
今回のUA終了を受けた選択肢としては、以下の2つが考えられます。
- Webやアプリを横断して大規模な解析をしたい人:GA4
- Webのアクセス解析ができればいい人:UAに近い代替サービスに乗り換える
多機能なアクセス解析を行いたいという方は、推奨されているGA4をそのまま利用する形で問題ないと思います。
UI自体がまだまだ使いづらいという問題はありますが、機能面では不足はないツールですし、学習コストをかけるだけのメリットがあるのであれば、GA4を使うという選択肢ももちろんアリだと思います。
とは言えそれらはもちろん、GA4の特性を理解して、納得した上での話です。
「GA4はオーバースペックすぎる、Webだけの計測ができればOKなんだ」ということであれば、もっと簡易的にな、UAの設計に近いアクセス解析ツールを利用すればよいと思います。
筆者はこの考えに沿って、いくつかアクセス解析ツールを検討してみましたが、オープンソースのアクセス解析ツール「Matomo」が良いと感じました。
Matomoの特徴
- オープンソースのアクセス解析ツール
- 自分のサーバにインストールすれば無料で利用可能
- 同じく無料で利用可能なWordPressプラグイン版あり
- GoogleアナリティクスのUAに比較的近い画面構成
- ページごとのPV数などもデフォルト設定で確認可能
- ユーザの国、地域、都市、デバイス情報、OSなどの情報が分析可能
- 検索エンジンや直接アクセスなど、アクセスチャネルも分析可能
Matomoについては、実際の画面構成や使用感、利用方法などをこちらの記事に詳しくまとめていますので、他のアクセス解析ツールを検討中の方は、参考にしてみてください。
まとめ
以上、GA4が使いづらいと言われるそもそもの理由について、でした。
この記事のポイント!
- UAとGA4は、開発企業も開発目的もまったく異なるツール
- UAと同じことをGA4で実現しようとすること自体にムリがある
- UAからGA4へと強制移行すること自体が問題だった
- 小規模Webのユーザは、Matomoなどのアクセス解析ツールを検討するのが吉
こうしてツールの背景まで追ってみていくと、ツールの開発者自身に罪はないよな…とも感じました。
やはり、サイトの規模感やスキルの有無、運用体制などによって、適切な解析ツールを使うのが本来正しい姿なのだと思います。
これまでは、UAが初心者にも上級者にも使える無料の万能ツールだったことで、アクセス解析のスタンダードとして完全に定着してしまっていたことが、背景にあるのだと思います。
今後、UAが完全にサービス終了して、なかば強制的・自動的にGA4に移行していくうえで、利用者にとっては大きなストレスや負荷が出てくることは間違いないでしょう。
それでも利用者がみなGA4のスキル習得してアクセス解析していくことになるのか、
それともUAに近い、もう少し簡易的なアクセス解析ツールのシェアが伸びていくのか、その辺りは関心を持って見ていきたいところですね。
少なくとも当ブログは、GA4の計測自体はしつつも、メイン利用はMatomoに切り替えていく方針で考えています。
この記事が皆さんの今後の方針の参考になれば幸いです。
以上、ご参考までに。
それでは!