VPNについて詳しく解説します
- 匿名でネットしたいので、もっとも匿名性が高い方法を教えてほしい
- Onion Over VPNという機能の仕組みをわかりやすく教えてほしい
- 実際の設定方法、接続方法もあわせて教えて!
この記事では、以上の疑問にお答えします。
ネット接続のセキュリティ、匿名性を高める手段としてVPNサービスを使った通信をすることが、一般的になってきました。
VPN接続をするだけでも高いセキュリティを確保することができますが、更に匿名性の高い通信をすることも可能です。
それこそ、プロバイダーだけでなく、国や政府機関、ハッカーにも通信内容を秘匿できるぐらいの高い匿名性を実現する方法です。
この記事では、その手段の1つであるOnion Over VPNについて、特徴と利用方法、そして最適なサービスについてまとめました。
ご参考までに、それではどうぞ!
- 前職はインフラエンジニアのWebライター
- プライベート・仕事の両方で毎日VPNを利用
- VPN利用歴4年 (メイン使用はNordVPN)
- 国内外でVPNを活用しながらSEOコンサルやライティングを行う
しかしこれらの情報は、皆さんがより安全でプライバシーを保護できる環境をつくるためのものであり、違法行為を助長するものではありません。
Onion Over VPNは適切に利用すれば非常に便利ですが、不適切な目的で利用される可能性もあります。
この記事の情報を用いて発生したいかなる問題に対しても、当ブログは責任を負いかねますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
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目次
この記事のポイント!
- 「Tor+VPN接続」を組み合わせることで高い匿名性で接続できる仕組み
- 匿名性は最高水準だが、通信速度は遅くなる
- 面倒な設定なしでアプリから接続できるNordVPNが一番カンタン
【解説】Onion Over VPNとは
Onion Over VPNとは、Torという匿名性の高いネットワークを経由するVPN機能のことです。
通常、VPN通信をするだけでも高い匿名性を得ることができますが、更にTorというネットワーク経由することで、世界最高水準のセキュリティ・匿名性を得ることが可能です。
Tor(トーア)とは
Torでは、世界中の中継サーバをランダムに経由して、最終目標のサーバにデータが送られる仕組みです。
それぞれの中継サーバごとに暗号化されて通信が送られるので、通信経路や通信内容を解読することが非常に困難で、そのため非常に高い匿名性で通信をすることが可能になります。
Torは世界中のボランティアによって運営されており、無料で誰でも利用をすることが可能です。
対して、VPN通信とは
通常、VPN通接続だけでも解読は困難となるため、高い匿名性を確保することが出来る。
更にTorと組み合わせることで、より高い匿名性を確保可能。
TorとVPN接続を組み合わせたOnion Over VPNを利用すると、以下の図のような形で、二重に匿名化することができます。
何重にも暗号化されながらランダムな経路で通信が届くため、これを傍受してデータを盗もうとするのは非常に困難になります。
また、プロバイダーや国・政府機関にも、ユーザがTorネットワークを使っているかどうか・何を通信しているかも解析不能となり、高い匿名性があります。
ちなみにTorには「最後の中継サーバに悪意ある人間がいたら、通信が解析されてしまう」という弱点がありますが、その場合も更にVPNで暗号化した通信を送っておけば、解析されるリスクはかなり低くなる、という対処方法があります。
Tor+VPNという異なる仕組みを組み合わせることで、どちらかに問題が発生しても、もう1つの仕組みで安全を保障できるわけですね。
現在ある通信技術の中でも、匿名化においては最強の通信方法です。
Onion Over VPNを使えばすべて安心、というわけではないことには注意しておきましょう。
例えば高度な匿名通信をしていたとしても、自分から個人情報やデータを間違えてインターネット上に入力・アップロードしてしまえば、それはたとえOnion Over VPNだろうと無意味です。
こうした利用者のミスによる情報漏洩などのリスクは当然あるものの、利用方法さえ間違わなければ、世界最高水準の匿名性を確保できます。
Onion Over VPNのメリット
Onion Over VPNを使うメリットは以下の通りです。
- 世界最高水準の匿名性を確保できる
- Torを使っていることがプロバイダーや国・政府にバレない
- 通信内容の傍受がほぼ困難
- 通信元の解析もほぼ困難
- Torのセキュリティの短所もカバーできる
すでにご説明した通り、世界最高水準の高いセキュリティ・匿名性で通信できるというのがメリットです。
日本にいて、そのように高い匿名性を必要とする場面はそうそうありませんが、これが海外旅行や出張・赴任等の場合は重要となってきます。
特に、ネットの監視が厳しい国では、Torの利用自体が監視対象となる場合もあります。
あらぬ疑いをかけられたりしないためにも、匿名性の高い通信ができる環境、サービスに契約しておくことは、重要な備えです。
ハッカーからも政府機関からも身を守れるのが、Onion Over VPNです。
Onion Over VPNのデメリット
デメリットとしては以下の通りです。
- 通信速度が遅い
- 利用できるサーバの地域が限られている
- VPNサービスによっては面倒な設定が必要
一番のデメリットは、通信速度が大幅に低下することです。
数多くの中継サーバを経由して通信するTorネットワークでは、当然のことながら、通信速度が低下します。
更に、Onion Over VPNを提供しているサーバは、設置されている地域が限られているため、遠隔地からの通信は余計に通信速度やレイテンシーが低下することになります。
例えば、筆者の環境で、日本国内のVPNサーバでの通信速度と、Onion Over VPNを経由した場合の通信速度を比較する実験をしてみた所…
なんと、通信速度は92%も下落していました。
通信のPing、レイテンシーもものすごく高くなっており、遅延がどれだけ発生しているかがわかります。
VPNの接続形式 | ダウンロード速度 | アップロード速度 | PING(レイテンシー) |
---|---|---|---|
日本国内のVPN | 96.48MB | 104.14MB | 23 |
Onion Over VPN | 7.53MB (-92%) | 64.35MB | 596 |
速度を求める場合は、Onion Over VPNは最適ではありません。
また、VPNサービスによっては、Onion Over VPNという形でサービスが提供されていない場合もあります。
Torネットワークに接続することは可能ですが、そのためには面倒な設定と手順が必要になるため、正直な所、初心者向きではありません。
ただし、このあと紹介するNordVPNでは、Onion Over VPNの機能が標準で用意されており、アプリ上からボタンを押すだけで簡単にOnion Over VPNの通信が可能です。
手間暇のことも考えると、現時点ではNordVPNがもっとも匿名性の高い通信が簡単に利用できる選択肢といえます。
【推奨】Onion Over VPNを使うべき人
これらに当てはまる人たちは、Onion Over VPNを利用することをオススメします。
- 国や政府の監視から逃れたい人
- 匿名性をとことん求める人
- 業務上、機密性の高いデータを扱う人
日本国内では言論の自由は保証されているため、高度な匿名性を必要とする場面はほとんどないと思われます。
ジャーナリストや政治活動をする人でも、よほどのことをしない限りは通信を監視されるということはないでしょう。
それでも気になる、どうしても匿名で通信を徹底したいという方は、今回のようなOnion Over VPN機能は有効です。
匿名性をとことん追求したいという人は、検討してみる価値ありです。
考えられるとすれば、国や政府の監視よりも、海外ハッカーなどの攻撃や傍受の方が、危険性は高いです。
特に近年は、中国・ロシア・北朝鮮などのハッカー集団が国家ぐるみで日本の企業や個人に対して攻撃やハッキングを仕掛けていている背景もあり、これまで以上に匿名性の高い通信、セキュリティの確保は必要です。
そうした国が求める機密情報や価値の高い情報など、重要度の高いデータを扱う場合は、セキュリティの確保が重要です。
また、これらような、ネット監視が厳しい国々に出張・赴任する場合も注意が必要です。
特に近年は中国で、日本人の駐在者・会社員がスパイ容疑で不当に拘束されるという問題も頻繁に発生しています。
情報セキュリティ上でも、身の安全上でも、Onion Over VPNのような匿名性の高い通信が可能なように準備しておくことは必要でしょう。
【比較】Onion Over VPNを提供しているサービスまとめ
ということで、ここまでご説明してきたOnion Over VPNを利用可能なサービスは以下の通りです。
VPNサービス | Onion over VPN機能 | 特徴 |
---|---|---|
NordVPN | あり (アプリから簡単に接続可能) | 最大手 多様なセキュリティ機能 |
ExpressVPN | なし (手動設定でのTor接続は可能) | 一部データだけVPN化する 「スプリットトンネル」機能 |
Surfshark | なし (手動設定でのTor接続は可能) | 安価な月額料金で 無制限のデバイス接続が可能 |
Millen VPN | なし (手動設定でのTor接続は可能) | 国内VPNサービスのため 英語に不安があっても利用可能 |
基本的にどのサービスでもTorへの接続は可能ですが、上でもご説明してきた通り、手動での設定が必要で、専門知識が必要になります。
制御も大変なため、なかなか気軽に利用するのは難しいと言わざるを得ません。
【簡単】オススメはNordVPN
ただし、NordVPNはアプリ自体にOnion Over VPN機能が標準で備わっていて、匿名性の高い通信がはじめから可能となっています。
NordVPNのOnion Over VPNを使うと、VPN接続からTorネットワークへの接続まで、全自動で一発設定してくれます。
VPNサービスは数多くありますが、Torネットワークへここまで簡単に接続できるサービスは他にはありません。
NordVPNは元々、北欧発のサービスです。
海外のネット利用で個人のプライバシーやデータを守ったり、監視の強い国で安全に通信していくことを目的に、様々な仕組みを多く導入しています。
NordVPNの特徴、およびサービス内容は以下の通りです。
- 59カ国のVPNサーバに接続可能
- 全世界、5419台のサーバを配備
- Windows、Mac、Linux、iPhone、Androidなど、多種多様なOSに対応
- Chrome、Edge、Firefoxなどのブラウザ用拡張機能も提供
- 1アカウントで6端末まで利用可能
NordVPNのオプションや、技術的な特性についてもまとめました。
このように、技術的にも最高水準の安全基準でインターネットが利用できるようになっています。
- AES 256bitの暗号化を使用
- 「IKEv2/IPsec」「OpenVPN」「NordLynx」の3種類のVPNプロトコルに対応
- ノーログポリシー (通信・接続履歴などを記録しない)
- キルスイッチ機能 (VPNサーバと接続が切れた場合にNWを自動停止する)
- 固定IPが取得可能
- 追跡困難な「難読化サーバ」が利用可能
- 「Onion Over VPN」が利用可能
- コマンドラインからのVPN接続の制御
NordVPNは国内利用者も増加中
このNordVPN、日本国内でも最近、急激に評判となっており、海外赴任・海外出張での利用も含めてユーザ数が増加傾向にあります。
こちらは、それぞれのVPNサービスの、日本国内での過去5年間の検索数の推移を比較してみたものです。
グラフの青色の線が、NordVPNが検索された回数を示しています。
2021年頃までは他の主要VPNサービスと大きな差はなかったものが、ここ1〜2年で急激に検索される頻度が増え、利用者が増えているということがわかります。
NordVPNは現在、日本人に最も選択されているVPNサービスです。
Onion Over VPNサーバが設置されている国と地域
さて、NordVPNの場合、以下の2カ国にOnion Over VPN専用のサーバが設置されています。
両方ともヨーロッパで、日本からは遠隔地となるため、通信速度もかなり遅くなることには注意が必要です。
Onion Over VPNサーバが設置されている国
- スイス
- オランダ
【手順①】NordVPNでOnion Over VPNに接続する方法
最後に、実際にNordVPNを利用して、Onion Over VPN接続する方法についてまとめておきますね。
基本的な操作はどのOSでも一緒ですが、アプリの画面構成がそれぞれ少しずつ異なるので、Mac版・Windows版・スマホ版アプリの3種のスクリーンショットを掲載して解説していきます。
まずはNordVPNのアカウントと契約が必要です。
登録がまだという方は、こちらのリンクからどうぞ。
Mac版アプリの場合
Mac版のアプリですが、メイン画面はこのような形です。
左側のメニューに、接続することが出来るサーバの国・エリアのリストが並んでいます。
この左側のメニューを一番下に辿っていくと、「特殊サーバー」という項目があります。
ここに「Onion Over VPN」という項目があるので、こちらをクリックしましょう。
これで、自動的にOnion Over VPN接続が開始されます。
実際の画面では分かりづらいですが、ここではオランダ・アムステルダムのOnion Over VPNのサーバに接続しています。
左側のリストから「…」を選択すると、Onion Over VPNのサーバの国・サーバの指定も可能です。
とはいえ、接続先は現在オランダとスイスのみで、地理的に大きな違いもありませんので、一応選択可能ではありますが、通常は自動接続という形で問題ないと思われます。
また、統計情報を確認すると、こちらでOnion Over VPNサーバ7日どうかを確認することも可能です。
このように、「国名+Onion」という表記のサーバが、今回の対象のサーバに接続できているよ、ということになります。
Windows版アプリの場合
Windows版でも、基本的には同じような操作で接続可能です。
似たような画面構成ですが、左側のメニューの上部に「Onion Over VPN」という項目がありますので、ここをクリックするだけです。
接続が完了すると、ここでOnion Over VPNの接続が確認できます。
ここでは、スイスのOnionサーバに接続できていることがわかりますね。
またWindows版アプリでもこのように、メニュー上から接続する国を選択することも可能です。
スマホ版アプリの場合
スマートフォンアプリでも、Onion Over VPNに接続可能です。
ここでは、iPhone版の画面をもとに解説していきます。
トップ画面では接続先のサーバの一覧が表示されていないので、この部分を上方向にスワイプして、メニューを開きましょう。
このように接続先のサーバが表示されますが、「特殊サーバー」という項目がありますので、ここをタップしましょう。
ここに「Onion Over VPN」という項目がありますので、ここをタップします。
これでスマートフォンでもOnion Over VPNに接続できました。
オランダのOnionサーバに接続できていることがわかりますね。
まとめ
以上、最高水準の匿名性を実現するOnion Over VPNについてのまとめでした。
この記事のポイント!
- 「Tor+VPN接続」を組み合わせることで高い匿名性で接続できる仕組み
- 匿名性は最高水準だが、通信速度は遅くなる
- 面倒な設定なしでアプリから接続できるNordVPNが一番カンタン
このようにNordVPNならPCやスマートフォン、どのOSでもかなり簡単に接続できることがわかります。
クリックしてサーバを切り替えるだけで、このようにとても簡単に、匿名性の高い通信ができるわけですね。
繰り返しになりますが、現時点ではNordVPNを使うのが、もっとも匿名性の高い通信が簡単に利用できる選択肢といえます。
以上、ご参考までに!
それでは!