ChatGPTについて詳しく解説します
- ChatGPTの無難な応答に不満を感じていませんか?
- 指示内容が誤解される問題に悩んでいませんか?
- 自分だけのオリジナルなプロンプトのテンプレートを作りたいので、プロンプトの理解を深めたい
当記事では、上記の疑問にお答えします。
ChatGPTの無難な応答に不満を感じ、指示内容が誤解される問題に悩んでいるあなた。
この記事を通じて、なぜ無難な回答になるのか、なぜ誤解が生じるのかの原因を明らかにし、それを解消するためのプロンプトの理解と効果的なテンプレート作成の方法を紹介します。
ChatGPTをフル活用して業務の効率化を図りたい方は必見です。
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目次
この記事のポイント!
- ChatGPTでより良い回答を引き出したい場合、プロンプトの工夫が必要
- プロンプトで重要となるのは「目的」「トピックス」「コンテキスト」「応答トーン」「応答の形式」
- 可能な限り、質問を具体的に、小さな単位で明確に書いていくことが重要
著:I/O編集部
TipstourのChrome拡張記事を寄稿しました! 工学社さんより、ChatGPT×Chrome拡張機能を使ってより便利にChatGPTを活用する方法をまとめた書籍に、当ブログの記事が本書の1章に掲載されています。 |
プロンプトとは?応答の無難さの回避と誤解を防ぐ2つの手段
ChatGPTのプロンプトは、人工知能モデルとの対話を始めるための入力テキストです。
具体的には、ユーザーが人工知能モデルに何を応答させたいのか、どのような形式で応答させたいのか、特定の背景や状況、対象者に合わせた応答を求めるのかなど、対話の方向性や目的、質を定める役割を果たします。
質問や指示があいまいな内容だったり、その背景や状況が不明確だったりすると、回答が無難なものになってしまったり、誤解が生じてしまったりしてしまいます。
また、ChatGPTは多岐にわたるデータセットで学習されており、一般的な質問に対する一般的な回答が含まれていることが多いです。
特定の専門分野や最新の研究などについては、専門家のような深い理解がないことがあります。
これによって、一般的な情報や広く受け入れられた知識に基づく回答が多くなることがあります。
したがってChatGPTは、よくあるパターンの質問に対して無難な回答を生成する傾向があります。
それでは、ChatGPTで無難な回答や誤解を避けるには、どうすればいいのでしょうか?
無難な回答や誤解を避けるためには、大まかに2つの方法があります。
モデルの調整
1つ目は、ChatGPTのパラメータを変更することです。
特にテンパリングやファインチューニングなどの技術的な手法は、ChatGPTの出力を特定の目的、トーン、スタイル、または精度に合わせるために一般的に使用されます。
この方法は、APIを含むさまざまなツールを通じて、無難な回答や誤解を防ぐことを可能にします。
プロンプトを工夫する
2つ目は、プロンプトを工夫することです。
これには質問のフォーマットを変更したり、追加情報を導入したりするなど、入力となるプロンプトの内容を工夫する手法が含まれます。
しかし、専門的な話題や最新の研究に関しては、プロンプトの工夫だけでは一般的な回答しか得られないことがありますので、その点は注意が必要です。
この記事では、プロンプトを工夫して、無難な回答や、誤解を避ける方法を詳しく解説していきます。
無難さに対してどう対処するか|ChatGPTのプロンプト設計において基盤となる5つの要素
ChatGPTのプロンプト設計における無難な応答の問題を解消するためには、基盤となる要素を理解し、それらを適切に組み合わせる必要があります。
以下は、プロンプトの設計において重要な5つの要素になります。
自分だけのプロンプトのテンプレートを作成する場合に、必ず盛り込みたい要素です。
①目的
プロンプトの設計は、回答が正確で具体的になるようにしたり、回答が話題に合うようにしたりする役割があります。次のような目的で使うことができます。
目的 | 概要 |
---|---|
質問する | 特定の情報を知りたいときや、深い考えを引き出したいときに使います。 |
命令する | 何かを具体的にしてほしいときに使います。明確に指示することで、望んでいる回答を得られます。 |
対話する | おしゃべりを楽しんだり、新しいアイデアを探ったりするときに使います。 |
教える | 特別な情報や教えを提供するために使います。 |
以下に目的の具体的なフレーズをご紹介します。
具体例
- 〇を説明してください。
- 〇を教えてください。
- 〇方法は何ですか?
- 〇について教えてください。
- 〇を提案してください。
- 〇の詳細を共有してください。
- 〇の違いは何ですか?
- 〇の使い方を示してください。
- 〇に関する意見は何ですか?
- 〇の最新情報を教えてください。
- 〇におけるリスクを評価してください。
- 〇の解析をしてください。
- 〇の改善策を提案してください。
- 〇の関連事例を教えてください。
- 〇の計画を立ててください。
- 〇に対する対策は何ですか?
- 〇の概要を述べてください。
②トピックス
トピックスとは、話す内容の主題または焦点のことです。
ChatGPTに対して何について応答するかを指示します。
以下の表は、プロンプトの目的ごとに整理した、トピックスの具体例を示しています。
プロンプトの目的 | トピックス |
---|---|
新製品のローンチのためのキャッチコピーを作成してください | キャッチコピーの効果的な作成方法 |
特定のキーワードを用いたSEO最適化記事を書いてください | SEOライティングの基本と最先端の戦略 |
Pythonを使用して販売データからトレンドを分析してください | Pythonを使用したデータ分析の導入 |
自動化ツールを用いて日次報告の業務を効率化してください | 業務効率化のための自動化ツールの選定 |
新ブランドのポジショニング戦略を設計してください | ブランディング戦略の設計と実装 |
顧客満足度調査のためのアンケートを設計してください | 顧客満足度の向上策とその測定方法 |
Pythonで機械学習モデルを用いて売上予測をしてください | Pythonを用いた機械学習のビジネスへの適用 |
ウェブサイトのコンバージョン率を向上させるための改善策を提案してください | 電子商取引の最適化とコンバージョン率の向上 |
リーダーシップの強化のためのトレーニングプログラムを設計してください | リーダーシップと組織文化の形成 |
SEO対策を強化するためのコンテンツ戦略を立ててください | SEOライティングを用いたコンテンツマーケティングの強化 |
Pythonと外部APIを統合してシステム間の連携を強化してください | PythonとAPIの統合によるシステムの相互運用性 |
業務プロセスを改善し、従業員の生産性を向上させる策を提案してください | 従業員の生産性と業務効率化の促進 |
トピックスを適切に設計することで、ChatGPTは期待される内容を正確に反映し、ユーザーのニーズに応じた情報を提供することができます。
③コンテキスト(背景や状況、文脈)
ChatGPTでプロンプトを作る際、コンテキストという要素があります。
これはプロンプトに関連する背景や状況、情報のことで、ChatGPTに方向を示し、正しい回答を引き出す役割があります。
コンテキストのおかげで、あいまいな回答を減らし、正確で意味のある回答を得ることができます。
以下の表は、プロンプトの目的ごとに整理した、コンテキストの具体例を示しています。
プロンプトの目的 | コンテキスト |
---|---|
新製品のキャッチコピーを作成してください | 製品の特性、ターゲット市場、ブランドの価値 |
特定のキーワードを用いたSEO最適化記事を書いてください | ターゲットキーワード、関連トピック、読者の属性 |
Pythonを使用して販売データからトレンドを分析してください | データセット、分析の目的、期待される出力 |
新ブランドのポジショニング戦略を設計してください | ターゲット市場、ブランド価値、競合状況 |
顧客満足度調査のためのアンケートを設計してください | 顧客属性、製品またはサービスの種類、調査の目的 |
ウェブサイトのコンバージョン率を向上させるための改善策を提案してください | ウェブサイトの構造、ターゲット層、現在のコンバージョン率 |
リーダーシップの強化のためのトレーニングプログラムを設計してください | 組織の価値観、リーダーシップの現状、期待される成果 |
サプライチェーンを効率化するための新しい戦略を提案してください | 供給網の構造、業界のトレンド、効率化の目的 |
SEO対策を強化するためのコンテンツ戦略を立ててください | ターゲットキーワード、競合分析、コンテンツ形式 |
Pythonと外部APIを統合してシステム間の連携を強化してください | 利用するAPI、システムの要件、セキュリティ検討 |
業務プロセスを改善し、従業員の生産性を向上させる策を提案してください | 現在の業務流れ、生産性の課題、改善の目標 |
コンテキストは、プロンプトを設計する際の中心的な要素です。
具体的な目的と背景情報の組み合わせによって、一般的なフレーズではなく、特定の目標に対応する具体的かつクリエイティブな結果を出力することが期待できます。
④応答トーン
応答トーンとは、ChatGPTなどの言語モデルが出力するテキストの「声」または「感じ」を指します。
これは、プロンプトの目的、ターゲット層、文脈に応じて調整や設定する必要があり、言葉遣い、文体、態度などの組み合わせで形成します。
以下の表は、プロンプトの目的別に整理した、応答トーンの具体例を示しています。
プロンプトの目的 | 応答トーン |
---|---|
正確かつ公式な言い回しで回答してください | プロフェッショナルなトーン |
親しみやすく、カジュアルな言葉遣いで回答してください | カジュアルなトーン |
情熱的で心に響く言葉で表現してください | 魅惑的で感動的なトーン |
話し言葉のような、自然でリラックスした表現を使用してください | インフォーマルなトーン |
説得的で、読者を行動に促す言葉で回答してください | 説得力のあるトーン |
教育的で、情報提供を重視した明確な表現で回答してください | 教育的なトーン |
楽しく、興味を引く表現で回答してください | エンターテイニングなトーン |
専門的で、技術的な用語を使用した表現で回答してください | 技術的なトーン |
フレンドリーで親しみやすい言葉で回答してください | 親しみやすいトーン |
礼儀正しく、フォーマルな言葉遣いで回答してください | フォーマルなトーン |
応答トーンは、ターゲットやメッセージの目的に応じて調整する必要があります。
正しいトーンを選ぶことで、メッセージが効果的に伝わり、目的に合致した応答が得られることが期待できます。
⑤応答の形式
応答形式はChatGPTのプロンプト設計において非常に重要な要素です。
ChatGPTのプロンプト設計での応答形式は、"文章の構成"、"スタイル"、"形式"、"ターゲット層"といったカテゴリで分けられます。これらがうまく合わさると、応答の質が向上します。
応答形式 | 概要 |
---|---|
文章の構成 | 応答の構造が明確であれば、ChatGPTが情報を整理し、目的に合った回答をしやすくなります |
形式 | リスト、段落などは、ChatGPTが情報を適切に整理し、出力する内容を最適化します |
スタイル | 特定のスタイルを指定すると、ChatGPTはそのスタイルに合わせて言葉を選び、一貫した回答をします |
ターゲット層 | 誰に向けた回答なのかを明確にすると、AIモデルはその層の興味や理解度に応じて応答を調整します |
以下に、応答形式についての具体例をご紹介します。
文章の構造の具体例
- 詳細な分析
- シンプルな要約
- 一問一答形式
- 3つのポイント形式
- ステップバイステップで説明してください
- ロジックを説明してください
形式の具体例
- タイムライン形式
- 質問と回答形式
- チュートリアル形式
- ガイドブック形式
- チェックリスト形式で提供してください
- 比較表で表示してください
- チャートで情報を視覚化してください
- スライドプレゼンテーション形式で情報を提供してください
- 5つのバリエーションで考えてください
スタイルの具体例
- 対話形式
- 段落に分けた説明
- 五感を使った描写
- 人物紹介形式
- 記事風形式
- レビュー形式
- ケーススタディ形式
- ブレインストーミング形式で提案してください
- 100文字以内で回答してください
- 中学生にも理解できるように説明してください
- 抽象度を上げて回答してください
ターゲットの具体例
- 一般の大人向け
- 子供向け
- 高齢者向け
- 専門家向け
- 初心者向け
- ビジネス関係者向け
- 消費者向け
- 観光客向け
- 投資家向け
- 健康に配慮した人々向け
ChatGPTのプロンプト設計における応答形式は、ChatGPTに対して、明確に、効果的に意図を伝えるために重要です。
文章の構成からターゲット層に至るまで、各要素が連携して、意図したメッセージを正確に、魅力的に、効果的に伝える役割を果たします。
誤解に対してどう対処するか|ChatGPTのプロンプト設計において誤解を防ぐための7つの戦略
ChatGPTで望む応答を得るためには、誤解を最小限に抑えることが必要です。
以下の方法で、より正確な応答結果を生成しやすくなります。
情報を明確にする
「明確にすること」は、情報をはっきりと伝え、混乱を避けるために重要です。
情報の明確化 | 概要 |
---|---|
目的をはっきりさせる | 何を求めているのかはっきりと伝えることで、誤解を防ぎます |
構造の整理 | 改行や箇条書き、特殊な記号、括弧などの形式で情報を整理し、ChatGPTが重要なポイントを把握しやすくします |
引用を区別する | 引用する部分をダブルクォート(")で囲い、はっきりと分けることで、ChatGPTがその内容を正しく理解します |
具体的に質問する
「具体的にすること」は、特定の情報や詳細に集中し、正確な回答を引き出すために重要です。
具体的な質問によって、求める情報の範囲を明確にすることで、無関係な情報に対する回答を避け、誤解を減らすことができます。
具体的にする | 概要 |
---|---|
質問の範囲を絞る | 質問の内容を限定して、ChatGPTが特定の情報に集中できるようにします |
詳しく指示する | ChatGPTに何をしてほしいのか詳しく伝えることで、望む結果を得られるようにします |
背景を説明する | 質問の背景や状況を詳しく説明して、ChatGPTが状況に合った回答を出せるようにします |
質問は短く
質問を短くし、一度に一つのポイントに焦点を当てることで、応答が散漫になるのを防ぎます。
複数の質問を一度にしない
複数の質問を同時にすると、どの質問に対して応答するかが曖昧になることがあります。
一つ一つの質問に対して応答を得るためには、個別に問いかけると良いでしょう。
ステップバイステップの指示
段階的な指示は、複雑なタスクでも一つずつ明確に実行させることができ、誤解を防ぎます。
フィードバックを与える
フィードバックによって、ChatGPTがどの部分を誤解しているのかを具体的に特定できます。
誤解した部分に対して正しい情報を提供したり、間違いを指摘したりすることで、ChatGPTの応答結果を修正することができます。
英語のプロンプト
ChatGPTは英語のデータセットが豊富であるため、英語のプロンプトは、日本語のプロンプトと比較して、より高品質な応答になる可能性があります。
テンプレートの具体例|チップスツアー式テンプレート
このテンプレートは、ChatGPTの無難な応答を避け、誤解を予防するために工夫したものです。
プロンプト設計で必須となる項目には、目的とトピックス、オプション項目として、コンテキスト、応答トーン、応答形式、追加の情報をテンプレートに組み込んでいます。
[]の中に、詳細な情報を設定することにより、応答精度を飛躍的に上げられるように設計しました。
しかし、毎回[]内を入力するのは手間なので、ChatGPTが自動で[]内を設定するように、プロンプトをカスタマイズしました。
気に入らない個所だけ後で修正することで、[]内の入力する手間が省けます。
Pythonの使い方を初心者に説明する場合を例として、テンプレートを使ってみました。
応答結果はこちらです。[]内が自動で入力され、具体的な結果が出力されました。
最新のワイヤレスイヤホンのキャッチコピーを作成する場合を例として、テンプレートを使ってみました。
[]内が自動で設定され、具体的なキャッチコピーが出力されました。
出力されたものをたたき台として、自分が気に入る応答となるように、[]内を修正していきます。
また、ChatGPTにフィードバックをすることにより、応答精度が上がります。
まとめ
以上、ChatGPTでプロンプトのテンプレートを作成する方法まとめでした。
この記事のポイント!
- ChatGPTでより良い回答を引き出したい場合、プロンプトの工夫が必要
- プロンプトで重要となるのは「目的」「トピックス」「コンテキスト」「応答トーン」「応答の形式」
- 可能な限り、質問を具体的に、小さな単位で明確に書いていくことが重要
無難な回答や誤解を防ぐためには、プロンプトに目的やトピックスを盛り込むことが重要です。
さらに応答精度を上げるには、必要に応じてコンテキストや、応答トーン、応答形式を指定することで、具体的な応答結果が得られやすくなります。
目的に応じて、自分だけのテンプレートを作成してみましょう。
当ブログ、Tipstour(チップスツアー)でご紹介したテンプレートを、そのまま使用できるように貼っておきます。
コピペして、黄色の個所を目的に応じて変更するだけで使用できます。
また、このテンプレートをアレンジして、自分だけのオリジナルテンプレートを作成してみて下さい。
以下はChatGPTでAPIを使用せず、個人でChatGPTのプロンプトを工夫したテンプレートです。
テンプレートを作成した目的は、曖昧さ、無難な回答、誤解を防ぐことを目的としています。
Pythonの使い方を初心者に説明する場合を例として、実際に上記のテンプレートを使用してみてください。
[]内のテキストは、あなたが考えて作成すること。③応答形式は指示内容に応じて最適化を図ること。
*指示:[トピックスをここに入力]について、具体的でクリエイティブな結果を出力してください。オプション項目が入力されている場合のみ、オプション項目の内容を指示内容に反映させてください。
*オプション項目
①コンテキスト:[コンテキストをここに入力](例:対象商品やターゲット層の情報など)
②応答トーン:[応答トーンをここに入力](例:正式、カジュアル、楽しいなど)
③応答形式:
・文章の構造:[文章の構造をここに入力]
・形式:[形式をここに入力](例:リスト、段落など)
・スタイル:[スタイルをここに入力](例:リズミカルなフレーズなど)
・ターゲット層[ターゲット層をここに入力](例:消費者向けなど)
④追加の情報:[追加の文章をここに入力](特別な指示や要求など)
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- テンプレート使用時に、毎回同じ項目を設定する場合は、Custom instructionsで、出力設定しておくと便利です。
詳しくは、以下のリンク先の記事を参照してください。 - テンプレートに追加情報を、Wordやテキストファイルで追加する場合は、コードインタプリタ機能が最適です。
詳しくは以下のリンク先を参照してください。
Custom instructionsとは? 使い方と設定項目を解説
以上、ご参考までに!
それでは!