ついに。 花山歩道を歩きました。
淀川登山口から宮之浦岳へ登り、永田岳を経由して鹿之沢小屋へ。
そしてこの日は、鹿之沢小屋から花山歩道を通ります。 そして、歩きに歩いて大川の滝、そして屋久島の海、ゼロメートル地点までを踏破するぞ!
今までずっと気になっていた「屋久島の本当の秘境」たる花山歩道、実際に歩いてみてどのようなものか、レポートしていきたいと思いますよ!
前回の記事はこちら!
【屋久島】「宮之浦岳」に再挑戦! 2年前の大雨の山頂のリベンジは果たせたか否か | Tipstour
【屋久島】「鹿之沢小屋」に宿泊! 花崗岩ブロック造りの無人小屋(動画あり) | Tipstour
目次
花山歩道
花山歩道は、屋久島の西側に位置する登山道です。
「歩道」という呼び方をしてますが、れっきとした登山道。 特に登山道の中でも、上級者向けということで知られているルートです。
なので比較的マイナーなために、情報が少ないんですよね。 このレポートが、その情報不足を埋められれば幸いです。 (ちなみにこちらは、2016年8月末での状況です。)
さて今回は、鹿之沢小屋から花山歩道を通って大川の滝まで15km、標高差1550mを下ります。
花山歩道を登っていくことも可能なのだけど、下りを選択した方が相対的に歩きやすいようです。
詳しくはこの後にも書くけども、登りルートを選ぶと、かなーーーり大変だと思います。 相当の覚悟が必要だ。
ピンクリボンを追え!
6時45分頃、鹿之沢小屋を出発。
さて、花山歩道は表札らしい表札がなく、登山道を示すピンクリボンを自分で追っていかないといけないルートです。
宮之浦岳の登山道や縄文杉コースなどは、ピンクリボンを気にしなくてもそれほど道に迷うこともないルートでした。 登山客も、多いですからね。
が、花山歩道は登山客も少ないし、木材などで整備されたコースもほとんどないので、自力でルートを確認して、進んでいく必要があります。
とはいえ実際の所、ピンクリボンはけっこうな頻度で木に括りつけられているので、「ピンクリボンを探して考えながら歩く」ことを心がけておけば、道に迷う心配はそんなにないと思います。
たまにピンクリボンが見えづらくなっていたり、道を仮定して少し進まないと確認できなかったりする場所もあるので、ちょっと進んでみて、怪しければ戻る。 ということをちゃんと心がければ、大丈夫じゃないかな。
また、こんな立て看板も時々置いてあります。 地図を持参するのは当たり前だけど、想像していたよりも整備された道だったと、思います。
間違えてそのまま進みそうな場所は、見えづらいけどこんなふうにロープが張ってあったりもするので、親切です。
西表島よりはセーフ!
そういえば2014年に西表島の「ユツンの滝」というトレッキングコースを単独で歩いたことがあるのだけど、その時もほとんど整備されていないルートをピンクリボンを頼りに歩いていく、というようなルートでした。
実際のところ西表島は屋久島よりもハードで、単独行はリアルに命の危険を感じるレベルの道のりでした。
岩は超滑るわ、川の中を通るわ、ヒルに吸血されるわ…。 普段は人が立ち入らないようなジャングルですからね…。
それに比べれば花山歩道は、(所要時間は長いけど)まだ安心して歩けるな、という印象でしたね。
一般的なイメージの「屋久島」とはまた違う森林
さて、花山歩道。
名もない巨木がそこらじゅうに乱立する、ダイナミックな森林だ…という話を聞いていましたが、実にその通り。
木の根っ子が意思を持つように、空間という空間へ張り出して、すごく荒々しい雰囲気をかもしだしていた。
花山歩道は登山道で唯一「屋久島原生自然環境保全地域」というエリアに含まれます。 これは、屋久島の中でも特に原生林の状態を維持しているとされたエリアで、そのままの状態に保全されている環境ということです。
そのせいなのか、屋久島のイメージである白谷雲水峡のような苔むした岩や木々のイメージとはまた違った、太古の森林そのものがここにある。
下りルートの序盤は、このダイナミックでディープな森を、ゆったりとしたペースで歩けます。 高度差もあまりないので、こんなにラクラク歩けてしまってよいのだろうか、というぐらい。
「あわよくばこのままゆったりとした登山道が続かないだろうか…」なんて思ったりもしたのだけど、まあそうはいかないのが屋久島の大自然なのだった…。
ちなみにこちらは、トゲトゲの葉っぱをもった小さな花。 足にチクリと刺さって、存在に気づいたもの。
大石展望台
1〜2時間ほど歩くと、見晴らしの良い場所に到着。 大石展望台です。
昨日と違って風もゆるやかで気持ち良く、ちょっとばかし休憩。
花山歩道で見晴らしが良い場所はあまりないので、貴重な場所かも。
改めて森に入り、登山道を進む。
この辺からは結構急な下りになってくる。 足場が岩ではなく、木の根っ子になっている場所を下っていくことが多くなった。
ずーっと下りが続くので、降りる分には(足の疲労はあれど)ラクだったのだけど、これが登っていく方向だったとしたら…相当息が切れるだろうなあ…。
歩き続けていると、なにやら時々金属音らしきものが。 見てみると、木にこうしたタグが貼り付けてあった。
貼ってある木と貼ってない木があったりして、何のためのタグなのかはよくわからない。 山林の管理用なのだとは思うけど…。
花山広場
更に下ると花山広場と呼ばれる、文字通りの広場に到着。 この時、10時半頃。
休憩場所にはぴったりな場所ですね。 テント泊も、可能そうなスペースが沢山ある。
これだけ手頃な休憩場所なら、休憩している人に遭遇してもおかしくないのだけど、そこは花山歩道。 一切の人間とは、遭遇せず。
鹿之沢小屋にもぼく一人だけの宿泊だったので、同じ方向に歩いている人も居ないはずなので、本当にこの日は、ぼく一人しか歩いていなかったということだろう。
こちらは花山歩道では珍しく名前があった「大竜杉」という樹木。 写真だとやはりわかりづらいけども、登山道の上にまで大きく貼りだした枝がすごくダイナミック。
花山広場から先が難所!
ここからが本当の地獄だ…。
天気も晴れてきて、木漏れ日もあふれるようになって下って行くには気持ち良い天候となったのだけど、ここからが難所でした。
倒れた木々で分断された道、崖を横ばいに張り付いて進むような道。 そういった道が、遠慮無く延々と続きます。
あまりにも遠慮なく、そのような道がずっと続くとやはり大変だ。 足を踏み外すと5メートルくらい下に転がっていきそうな坂道を(下るのではなく)横ばいに進んでいくのは、かなりスリリング。
しかも重たい荷物を背負った状態なので、余計にバランスには気をつけなければ…。
雨が降っていれば、更に大変だと思います。
所要時間・4時間半は適切なのか?
ちなみに花山歩道時間の下りルートの所要時間は、地図によると鹿之沢小屋から花山歩道入口まで4時間半と記載されていた。
けど、実際にぼくが登山口に到着するまで、8時間もかかってしまいました。
1時間ぐらい長くかかることはまああるけれど、2倍近くの時間がかかるなんて、今までで初めての経験だ…!
下りの後半は難所続きで、特に旅の疲れもあるはずなので、時間は余裕を見て歩いた方がよいと思います。 本当に。
登山口へ到着! ここからがまた長い…
最終的に花山歩道入口へ到着したのは、ほぼ15時ちょうど頃。
そんなにゆっくりゆっくり歩いていたつもりはなかったのだけど、2倍近くかかってしまった。 うーん。 やっぱりペースが遅かったのかな。
なにはともあれ、無事に降りてこれてよかった。
林道を進む方向に注意
さて、歩道入口に着いたはいいけれど、これがゴールじゃないんだなあ。
ここから更に、5.6kmほど歩きます。 登山道じゃなくて林道なので全然歩きやすいけども、ほとんど整備されてない砂利道なのでなんだかんだ結構大変。
そうそう淀川登山口へのタクシーの車内で運転手さんから注意を受けていたのだけど、林道の進む方向を間違えないように! と念を押されました。
表札が紛らわしいのだけど、林道の片方は更に山奥につながっているため、そっちに間違えて進むと帰ってこれなくなるというのだ。
実際、過去に間違えて奥の方へ進んでしまい、深夜まで迷い続けた登山客が居たらしい。 林道に降りてきてから遭難だなんて、嫌すぎる…。
運転手さんから言われたのは「登山道を降りたら左に行く」「登りになっているけど、その方向でOK」とのこと。
でもこれ実際、アドバイスがなかったら方向間違えるよ! だってNGな方向が下りに向かっているのだもん。 (一応、NGな方向には車止めのゲートがあるようなので、ゲートを越えて歩いて行きさえしなければ大丈夫らしい。)
ちょっとここは、案内が不足していて不親切だと思う。 歩かれる方は、気をつけて。
大川の滝へ
さて…林道を5.6km下っていくわけですが…やっぱ長い…。
危険箇所はないので、音楽を聴きながらズンズン進んでいくことに。 歩きだと所要時間は2時間と記載されてましたが、1時間半ほどで林道を抜けられました。
こちらは花山歩道の下り道で見つけてとても役立ってくれた木の棒。 この時発生していた台風にちなんで、「ライオンロック2号」と名づけました。(どうでもいい)
林道入口は、屋久島の幹線道路につながっています。 入口側にはこのような標識があるので、すぐわかるはず。
この時16時半なので、なんだかんだ10時間は歩きづめだったことになります。 いやー、よく頑張った。
道路に出て右側に少し進むと、大川の滝です。 海が見えてきました。
その途中にはバス停が。 こちらの最終便、17時45分のバスに乗って安房に帰ります。
バス停のすぐ近くには水場もありました。 疲れた身体に冷たい湧き水、染みますね。
サミット・トゥ・ゼロ
林道入口から大川の滝へは、徒歩5分程度でしょうか。
大川の滝のトイレへの道をそのまま直進していくと、海にたどり着けます。
標高1550mから海の0m地点まで、自分の足だけで降りてきたぞ! 前日には宮之浦岳・頂上の1936mに居たわけだから、まさしくサミット・トゥ・ゼロです。
肝心の大川の滝も見てきましたが、ここまでは車で来られるので沢山の観光客であふれていました。
こうしてディープすぎる山道を孤独に歩き続けてくると、こんな見事な大瀑布でさえ、ありふれた観光地のひとつに見えてきてしまった。
ここの観光客が見れないようなディープな景色を、ぼくは今日見て、歩いてきたのだ。
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とにかく、自分に対して「お疲れ様でした」と尊敬の念を抱きつつ、帰りのバスを待って、帰ることにしよう。
ちなみにこの大川の滝周辺は電波圏外なので、タクシーを呼ぶ必要がある場合は林道の中でうまく電波が届く場所を探して、タクシーを呼ぶしかないようです。
こちらもお気をつけて。
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