東南アジアノマドツアーの最後の日、前日マニラに宿泊した僕は再びマニラ空港から羽田空港に飛ぶ予定でした。
2週間前に泊まったマカティ地区にあるドミトリー「MNL Boutique Hostel」がいたく気に入ったので、空港からちょっと距離はあるけれど1泊だけ、この宿に戻ってきたわけです。 居心地よかった。
マニラ・マカティに安く宿泊するなら「MNL Boutique Hostel」 | Tipstour
しかし、マニラタクシーにやられました。 マカティ地区から空港へ移動する最後の最後で、ボッタクられました。
しかしながらボッタクってきた当のタクシー運転手から、彼らの内情を聞くことができたので、まとめておきますね。
※掲載している内容は、あくまでボッタクリタクシーのドライバー談です。 これが真実である保証はありません。 あくまで「こんな話を聞いた」「こんな風にボッタクられる場合がある」と、参考程度に読んでもらえればと思います。
※いくつかの方から「本当かどうか疑わしい」といった形のご指摘もいただきました。 ありがとうございます。
ボッタクリの内訳
(興味ない人は読み飛ばしてもらってOKです。)
マカティ地区でホステルからチェックアウトした僕は、流しのタクシーをキャッチ。 発車する前に「空港までいくら?」と聞くと運転手は「500ペソ」と答えました。
マカティから空港までの相場というとだいたい200〜300ペソが相場です。 何度かマカティ〜空港をタクシーで移動したけども、だいたいそれぐらいが相場らしいのは僕自身も感覚で掴んでました。
しかし500ペソと言い出すので「高い! 降りるわ。」というと、案の定すぐさま引き止めてきます。
「じゃあいくらなら乗るん?」→「国に帰るから300ペソしか持ってないから300ならいいよ」→「OK」ということでひとまず乗車決定。
ところが、空港につくなり要求してきたのは1500ペソ。 何を言ってるんだコイツ!
この値段を要求してきた理由はこの後書きますが、乗り始めにOKした額と全然違うじゃないか! これには僕もちょっと怒り気味で反論。
「そもそも300ペソしか持ってないよって話したよね? 手持ちがない人間からどうやって取るんだ?」(実際にはもう数百ペソ持っていたけど、そんなことを正直にいう必要なし。)
それでも頑として譲らない運転手。 しまいには「じゃあこのままマカティに戻る」とも言い出す。 時間的に(多少)余裕があった僕は「それでもいいけどお金は一切払わないよ?」と反撃。
とはいえ、マカティに戻るのも面倒くさいので「わかったわかった、じゃあ日本円ならあるからそれで手を打ってよ」と交渉して、最終的に300ペソと2000円でフィニッシュしました。 2000円が800ペソぐらいだから、1100ペソぐらいかな。
料金 | |
---|---|
初めにタクシー運転手が提示してきた金額 | 500ペソ |
乗る前に交渉で合意した金額 | 300ペソ |
空港到着後に要求してきた金額 | 1500ペソ |
最終的に支払った金額 | 1100ペソ程度 |
最終的に支払った金額 (日本円換算) | 2600円程度 |
もったいないけど、険悪なままの運転手にマカティに連れ戻されるよりマシだからなあ…。 ヘタしたらマカティにすら戻されない危険性も考えると、ある程度で手を打っておいてよかったと思います。 (そう、自分に言い聞かせてるw)
タクシー運転手の事情
なんで急に1500ペソを要求してきたのか、それについてはなんと運転手自身から説明がありました。 要約すると、こんな感じです。
「運転手はタクシー会社から雇われて給料をもらっているのではなく、1日3000ペソで車を会社から借りていて、タクシー運賃から車の代金をタクシー会社に支払わないといけない。」のだそうだ。
つまり1日3000ペソ以上稼がないと、運転手側は損をすることになる。 彼らに課せられた、ノルマというわけだ。 運転手自身の儲けは少ない。
渋滞がひどいマニラでは、空港から市内への道も必ずと言っていいほど毎日が渋滞になっている。 僕が乗った時間帯は、空港から市内に戻るのに2,3時間はかかるらしい。
なので、客なしの状態で渋滞に捕まってしまうと、そのドライバーは稼ぎなしの状態のまま2,3時間拘束されるということになってしまうことになる。 3000ペソの1日のノルマ達成が、遠のくというわけだ。 最悪の場合は身銭を切ることになるのだろう…。
(この国のタクシーが渋滞を理由に金を追加してくるのはこれが理由らしい。)
なので、空港に来たのだから、かかる時間分相当の1500ペソを支払って欲しい、というのが彼の主張だった。
空港の客待ちにも利権があった
「だったら空港で客を捕まえればいいんじゃね?」と聞いたら、こう返ってきた。
彼の車はホテルタクシー(?)なので、空港の客待ちレーンには並ぶことができない。 空港で客待ちをするにはべらぼうに高いレーン使用料を支払わないといけないらしい。
なのでせっかくの空港まで来たとしても、そこで新たな客をゲットして市内に帰ることが出来ない…ということなのだとか。 空港の客待ち権利という利権がここに存在しているわけですね。
(あくまで運転手の話なので本当かどうかはわからないけども、頑なに1500ペソを死守する態度から見ると、嘘ではなさそうな感じだった。)
逆にいうと、空港に向かう際には空港で客待ちレーンに乗れるタクシーを探して乗るのが、良いということになりますね…。
タクシー会社の供給過多
更には、タクシー会社が多過ぎるというのも理由のひとつだと思う。
街中でタクシーを眺めているとわかるけど、見た目はほぼ同じ白い車体のタクシーだけども、腐る程色んな種類のタクシー会社の名前がタクシーにはプリントされている。
街中はタクシーで溢れているので、タクシーをキャッチするのに困ることはあんまりないのだけど、供給過多なのでタクシー運転手側の客獲得の競争は激しい。
それがかえって客を乗せれたら金をむしり取らなければ、という行動になるのだと思います。
実際上にも書いた通り、提示してきた価格がボッテるので車を降りようとすると、慌てて値下げしてなんとか降ろさないように交渉してくるからね。
そんな内情を説明されても…
結局のところ、ドライバー自身が小銭を稼ぐために強欲でボッタクってるわけではなく、生活のために仕方なくやっているというのが実情だといえそうです。
確かにずっと疑問だったんだよね。 あれだけ高い金をむしりとっていく割に、タクシー運転手が裕福そうにはまったく見えない。 タクシー運転手自身がその金を手に入れているのでないのであれば、じゃあその金はどこに消えているんだ? と…。
タクシー運転手自身もなんのことはない、ブラック企業に首根っこを掴まれているタダの社畜というわけだ…。
…とはいえぶっちゃけた話、内情を客に説明したからって、それが1500ペソ支払う理由にはならねーだろ! って感じなのだけど。 (空港行きに問題があるなら初めから言えよって話だし、初めに500ペソを提示してきた時点で騙す気マンマンだ。)
それでも疑問に思っていた「なぜタクシー運転手のボッタクリが常態化してるのか」の理由が読めたのはちょっとした収穫だったと思う。 (そう自分に言い聞かせるw)
インドネシアのタクシーは良心的だった
考えてみると、必ずメーターを使って、ボッタクってこないと評判のインドネシアのブルーバード社のタクシーの運転手は、結構笑顔でノリノリで話しかけてくる人が多かったりするのだよね。
(ブルーバード以外のタクシーはボッてくるのも多いので注意だけど。)
彼ら自身のノルマの有無はわからないけど、運転している車自体は彼らの借り物ではなく会社の所有物なのだろうから、そうした日々の返済から怯えてボッタクリ行為を行わなくて済んでいる、ということなのかもしれないなー。
ちなみにブルーバードタクシーの運転手はみんなブルーバードの制服を着ている。 彼らは会社からの雇われの身で、安定した給料を得られているのかもしれない。
それを考えるとマニラのタクシー運転手はみんなピリピリしてる感じを受けるのも、頷ける。
生活という首根っこを借金で掴まれているわけだから、観光客に笑顔を向けて親切に運転できる訳もないのだろうなあ…。
まとめ
つまり全ての元凶は、
- 凄まじくひどい交通渋滞
- 空港の客待ちを禁じる利権
- 運転手への過酷なノルマ
にあるということだと、考えられます。
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ちなみにマニラ在住の大学生であるフィリピン人の友人もマニラのタクシーには呆れていて、現地人ですらボッタクリの対象になることも多々あるらしい。
現地人にすらボッタクリ行為を行ってくることは当然現地人もわかっているので、殆どの人はタクシーを使わないらしい。 現地慣れしていないゲストなどが居る場合などを除くと、だいたいのフィリピン人はジプニーを使うのを優先するのだとか。
言い方は悪いけども、車の運転なんて誰でもできてしまうので、逆に車の運転しかできない底辺層はこうした搾取対象のタクシー運転手にしかなれないということなのかもしれない。
「マニラの治安は悪い」というイメージがあるけども、物理的な街中の治安の悪さよりもこうした利権や搾取のシステムの闇の方が深いな…というのを今回肌で感じましたね。
空港から市内へのモノレールなり電車なり地下鉄なりが開通すれば事情はだいぶ変わるのだろうけど、まだまだ先のことになりそう。 多分、その開通を阻む利権も、あるのかも…と考えれば考えるほど、やっぱ闇しか感じないや!