【読みました】ハリウッド版も漫画版も原作も面白かった「ALL YOU NEED IS KILL」の3つを超比較


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エイリアンとの戦争で死ぬとその戦争の前日の朝に巻き戻る…。

今年の夏頃、トム・クルーズ主演の「ALL YOU NEED IS KILL」という映画を見に行ってきたのですが、これがすごく面白くて、今年の映画ベスト1に推薦したいぐらいの出来でした。 まあ、今年は映画2つぐらいしか見てないのですが。

話としてはいわゆるループものということで、日本のアニメや漫画ではだいぶありがちなカテゴリに入るんだけど、それをハリウッドで映画としてやること、更にこの映画の原作が日本のライトノベル(ラノベ)だということはけっこう話題になりました。 原作については全然知らなかったんだけど、ハリウッド版を見に行ったら想像以上に面白かったので原作や、映画と同時期に連載されていたという漫画版にもがぜん興味が湧いてきましたね。

で、そのハリウッド版のブルーレイが11月12日にリリースされるということで、更にちょうど原作も読み終わったところなのでそのテンションに任せてこの3つを比較してみたいと思います。

あ、当然ながらそれぞれのネタバレが含まれています。 ご注意ください。

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1.原作

僕が購入したのは原作のKindle版。 Kindle版は475円で入手できます。 全1巻。

元からなのか、それともKindle版なのかはよくわからなかったけど、ラノベと聞いていた割には挿絵が全くないし、中の文章の描写もやたらと妙に周りくどい感じなのが続いていた。

想像していたラノベとはだいぶ違う感じの印象を受けたのだけど、まあ個人的には挿絵とかあまり必要性を感じないし、展開的にも死を繰り返すというハードな内容なだけに、重っ苦しい感じの文体もそれほど悪くなかった。

「出撃なんて、実力試験みたいなもんじゃない?」敵弾が身体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。

トーキョーのはるか南方、コトイウシと呼ばれる島の激戦区。寄せ集め部隊は敗北必至の激戦を繰り返す。出撃。戦死。出撃。戦死――死すら日常になる毎日。

ループが158回を数えたとき、煙たなびく戦場でケイジはひとりの女性と再会する……。期待の新鋭が放つ、切なく不思議なSFアクション。はたして、絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することはできるのか!?

 

僕はループものの醍醐味として「初めはループに戸惑いながらもそれに順応していく」という要素があると思う。 僕はそれが結構好きなようで、この作品ではその要素が特に重視されている、というかメインの主題だと言ってもいいかもしれない。

死んだ後に前日に巻き戻っているのだから、死んだ原因を改善しようとして更に試行錯誤を繰り返していくことになる。 いうなればスーパーマリオで何度も死に続けながらマップの構成やうまい操作方法を体で覚えていくというその要素を、話の中で再現しているということ。

ぼくは一度も生き残ることができなかった。

だけれど。  なぜかはわからないが、この世界はチャンスをくれた。たった一度の戦闘を運に頼らず実力で生き抜いてみろとばかりに。  基地から逃げようなどという気を起こさぬかぎり、ぼくは訓練と実戦を一日おきに繰り返す。実戦が訓練に勝るというのならかえって好都合だ。いくらでも斬りおぼえることができる。

五百年前の剣豪が十年かかって得た実戦をたった一日に凝縮することができる。

そういえばラノベのもうひとつのイメージにありそうな「なんか女の子が色々と出てくる」という要素については、確かに話のところどころで整備士の女の子だったり食堂のお姉さんだったりが登場してくるわけだけど、やっぱりエイリアンとの戦いの中で死に続けるという部分がメインなだけあって、どうしてもラブコメにはなりそうにも無かった。 これ、本当にラノベなんだろうか…(笑)

2.漫画版

今年連載された、「デスノート」や「バクマン」で有名な小畑健氏による漫画化版。 この漫画版では原作の話をベースに、ある意味ちょっと回りくどかった言い回しをうまく消化して視覚的に読みやすく漫画化されてます。 全2巻。

デスノートの後のバクマンでは漫画家のジャンプ連載についての話だったので当然ナリを潜めていたグロ描写が、この漫画版では炸裂していたのでなんだか懐かしい気持ちになったりもした。 (当然、主人公は何度も殺されてしまうわけなので、そのたびにそういった描写がある。)

実は僕が見た順番はハリウッド版→漫画版→原作版と、全く真逆の順番に沿って読んでいったことになるわけなのだけど、ハリウッド版とはまた違う話の展開、結末となっているのでこれがけっこう楽しめた。 こちらも前述のループものの醍醐味「ループへの順応」がちゃんと描写されていて、しかもサクサク進むわけだから非常にすんなり読める。 すんなり読めすぎて、最近の何十巻も続くような漫画のシリーズに慣れていると、だいぶ短さを感じますね。

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個人的にはこの漫画版を1クールぐらいでアニメで見てみたいと思った次第です。 深夜アニメできわどい描写アリでどうでしょうか。

3.ハリウッド版

ハリウッド版では原作版の「死んだらループする」「起動ジャケットを装着して戦う」「敵はエイリアン」という基本的な部分はそのままに、話の内容が大きく変更されている。 そもそも原作では日本の湾岸地域が舞台で、主人公も日本人のキリヤ・ケイジという青年だったところが、ハリウッド版では戦闘経験のない米軍の広報担当になっている。 しかも、それがトム・クルーズ。

この時点で明らかに原作とは違うんだけど、ループにハマってそこから試行錯誤での戦闘経験を積んでいくという部分は同じといえる。 原作モノにありがちな「原作の良さをズタボロにした全然違う作品」にはならず、あくまで原作をリスペクトした上でハリウッドの映画としてストーリーを改変しているという点はとってもすばらしい。

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この作品の主題部分をちゃんとアイデアとして有効活用したうえで、展開的にもハリウッド映画として成立する話の運びになってるところがすごくいいですね。 ゲームでいう途中から分岐に入ったような感じで、話の展開やエンディングも全然違う方向に進んでいく。

元々は原作ファンでもなんでもないのでわからないけども、「原作ファンがちゃんとハリウッド化されたのを妄想したらこんな感じになるのかな」と思えそうなぐらいの理想的なハリウッド化だと思います。 (ドラゴンボールのハリウッド版の方を横目で見ながら)

原作との相違点(ネタバレあり)

この辺はかなりネタバレになってしまうので要注意ですが、パッと見でこれだけ違うというのをわかってもらえればいいかなと。

 原作ハリウッド版
主人公キリヤ・ケイジウィリアム・ケイジ
主人公の境遇完全に新人の青年兵、戦闘経験なし軍隊の広報担当、戦闘経験なし
(トム・クルーズ)
ヒロインリタ・ヴラタスキ(少女)リタ・ヴラタスキ(強そうなお姉さん)
ギタイと呼ばれるエイリアン
球状の物体に巨大な口が生えているような形状
ギタイと呼ばれるエイリアン
触手が沢山生えた、いかにもエイリアンのような形状
ループの原因ギタイ・サーバを倒すたびにループする(1回めはケイジが偶然倒し、2回目からのループはリタがループを倒していた)ギタイ・アルファの血を浴びた人間はギタイのループ能力を得る
舞台日本
基地内と戦場
ヨーロッパ
基地内と戦場、郊外の農村、山奥のダム、壊滅したパリ
結末ケイジとリタのどちらがループを抜けるかを賭けて殺しあう 戦争は続くループ能力を失うが、ギタイの親玉を倒し戦争が終結

中盤からの展開は本当に全然違う作りになっていて、ハリウッド版は結構ハッピーエンドといえる作りになっている。 原作をそのまま単純に再現するだけだと、ハリウッドの映画としては少し物足りものがあっただろうと思うところ。

原作では完全にエイリアンとの戦闘や問題が解決したわけではない、ある意味では「俺達の戦いはこれからだ」というENDなのだけど、ハリウッド版でそれをやると「じゃあALL YOU NEED IS KILL 2はいつ公開なんだい?」とか言われかねない…。

また、ラノベチックに女の子がちょこちょこと出てくる部分も正直あまり意味をなさないような部分なので、ハリウッド版には不要だと思う。 (まあ、可愛らしい整備士のネイティブ・アメリカンの女の子は、ヒゲモジャの科学者に変えられてたんだけど…)

なので、この改変については実に最適で合理的なものだと思った。 原作をそのままトレースするのならわざわざ実写化する必要もないとはいえ、ファンが望んでるであろう要素までごっそりなくなってたりする映画化がどうしても多い中で、この映画は成功例と言って間違いないのではないかな。

まとめ

  • いわゆるループモノのライトノベルの原作をハリウッドで映画化
  • 原作、漫画版、ハリウッド版の3種類がある
  • 漫画版は原作を再現している ハリウッド版はかなりの変更が加えられている
  • 映画としてちゃんと機能している、効果的な改変が素晴らしい

…ところで、色々とこの作品について検索していると、どうやら原作も続編を執筆中というような話もあるみたいです。 ハリウッド版はしっかり綺麗に完結しちゃいましたが、原作の続編、気になるところですねえ。

 

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